第15章 Autumn memory①
《及川side》
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本当、お前ってわかりやすいよねーって、りおの横顔を見ながら思った。今のりおは、烏野の元、主将君との話に夢中で俺が見ていることなんて気づいてもいないだろうね。
そんで、そんなあからさまに嬉しそうな顔してんのにも、気づいてない・・・
りおと主将君は楽しそうに話をしている。その雰囲気から二人は結構仲が良かったって言うのは伝わった。
だけど、元、恋人みたいな特有の雰囲気じゃないのはわかったし、主将君が、りおを特別な想いを抱いている様でも無かった・・・。
けど、りおの顔からは、主将君とは違う思いが見えた。
きっと学生時代、主将君に片想いしてたのかな?今も好きとか、そんな風じゃなくて、懐かしい特別な人に会えたから、嬉しいような気持ちが伝わった。
え?俺読心術とかできないよ?りおがわかりやすいだけ。
過ぎた恋心だったとしても、りおの前に好きだった人がいたっていうのは当たり前なことなのに、なーんか、モヤッとする。
「そうだ、りお、こないだまでオーストラリアで勤務してたんだって?スガから聞いたよ」
「えっ?そんなことも知ってるんですか?スガさん本当よく喋るんだから」
「いやいや、俺らの仲だからだよ。可愛い後輩が頑張ってんの聞いて、俺も嬉しかったよ」
俺の知らないりおを知ってる。
「また飲みすぎて店とかで潰れてないだろうな?」
「流石にこの歳でそれはしませんよ!もう、何年前の失態ですか〜」
「ははは、確かにな。お前次の日、もう絶対酒は飲まないって言ってその夜に飲みに行くくらい酒好きだったからな。今でもそんな風になってんのかなって、ちょっと心配だった」
「流石に大丈夫ですよ、ありがとうございます」
「怪我、早く治しなさいよ。無理は禁物。甘える所は甘えて、な?お前すぐ頑張りすぎるから」
主将君は、俺以上に・・・
りおを知ってるし、優しい。
ていうか俺・・・
りおのこと、何も、知らないんだな・・・ーーー