第15章 Autumn memory①
ーーー・・・
澤村大地さんは私の大学の先輩。年の違う私たちの接点は、セミナーの先生が共通しているということ。私が入学してセミナーを受けている時に、大地さんは3年生ながら卒業論文をコツコツと部屋の隅でパソコンを広げてやっていた。
初めは何をしているのか気になって、声をかけた。
声をかけたら、何をしているのかを教えてくれた。
教えてくれことに私も興味を持ち、
気づけば大地さん自身に、興味を持っていた・・・。
大地さんは優しくて、何だか一緒にいて安心感があった。
なんて言うんだろう。
お昼を食べて、天気のいい空の下、芝生の上に寝転んで微睡むような、そんな温かくて落ち着く雰囲気を持っていた。
おまけに、スガさんと仲良しみたいで、一緒に三人で飲んだり、遊びにもいった仲だった・・・
「ひっさしぶりだなぁ、りお!俺が大学卒業して以来か?」
「本当久しぶりです!大地さん、全然変わってないですね」
黒髪は短く揃えられていて、ガッチリとした体格も殆ど変わってない。あの頃にタイムスリップしたかのよう。
1つ違う所を上げるとしたら、服装だろう・・・
「その服・・・リハビリの先生ですか?」
クリニックの中でも見かけた制服。医学療法士の服装だと思った。大地さんはそれを纏っていた。
しっかりと首元まで閉めたボタンが、彼の堅実さを表しているよう。
「そ。俺、卒業してからこっち帰ってきて、専門学校行き直しただろ?それで無事、取得できたってわけ」
「そうなんですね!凄い、夢が叶ったんだ!」
大地さんはずっと、大学を卒業してから医学の道に進みたいって気持ちがあると話してくれた。その話をいつも聞いていたから、ちゃんと叶ったことに、私までも嬉しくなって小さく拍手を送った。
「まだ新米だけどな」
それでも否めないベテラン感は、流石と言った所かな。
あぁ、大地さんのこの優しい声が懐かしい。ほんと懐かしい。
「あ〜のさ、俺のこと忘れてない?」
と、横からの声に私はハッとした。振り返るとすこ〜し、不機嫌そうな及川さんがこちらを見ていた。
「及川!?久しぶりだな!」
「え?・・・・・・君、もしかして烏野の主将君?」
えぇぇぇ!?
私は目を丸くした。
「二人とも・・・、知り合いなの?」
「「そう言うりおは?」」