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おかえり〜I'm home〜(R18)

第15章 Autumn memory①





「ねぇ、及川さん!」

私は及川さんにみかんを渡す。

「今度は何。だから、もう食べれないって」

「及川さんが食べるんじゃなくて私が食べるのっ」

明らかに嫌な顔する及川さんの手にみかんを乗せて、少し離れる。

「投げてっ!私それ、口でキャッチするの上手なんだ!」

私の隠れ特技でもある。あの、わんことかがフリスビー投げられてキャッチするあれみたいに、私結構、器用に口に入れられるんだ。
子供の頃はよくこれをして友達からすごいと言われ、一躍人気者になった。この歳になってあんまり披露する機会がなかったから・・・。

「1粒、投げてみて!」

及川さんはみかんと私を交互に見たあと、ひょいっと宙に投げた。

曇り空に舞う、オレンジの粒。
それは、吸い込まれるように、私の口の中へ・・・


パクッ

「んーー!美味しいっ」

「へぇ、すご」

口では棒読みだけど、表情は驚きを隠せてない。
へっへっへ〜見たか!って感じで私はもぐもぐとみかんを食べながら及川さんを向いた。

「見た?私の唯一の特技!」

「見たって・・・見て欲しくてしたんじゃん。それ、もっと遠い距離でもできんの?」

「うん!勿論!もっと距離取って大丈夫だよ!」

そう言うと及川さんは後ろを気にしながら私と距離をとった。

そして投げてと手で合図を送る。


「行くよ〜」

今度はもっと高く、及川さんがみかんを投げる。
でも、どんなに高くても、私の口の中へ・・・

パクッ

「・・・へぇ、食べ物のことになると素晴らしい才能発揮するんだね」

「ちょっと、人を食い意地張った人みたいに言わないでくれる?素直に褒めていいんだからね?」


もっと!と手を大きく広げる。
次第に及川さんも乗り気になってきたようで、リズミカルにみかんを次々と投げてきた。

パク、パク、パクッ・・・


「これラストだかんねー」

「いいよー!どーんと来い!」

今まで百発百中、パーフェクトできた。最後の1粒を、及川さんが投げる。
その時、タイミングよく風が吹いた。
あ、少し放物線を大きく描いてくる。
私は少し後ろへ下がった・・・その時、


ズルゥッ!!


「きゃっ!!」


ぬかるんだ部分を踏んで足が滑った。
落ちてきたみかんは何とか口に入ったけれど、体制が立て直せない。何とか踏ん張ると・・・、


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