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おかえり〜I'm home〜(R18)

第14章 summer memory⑨





抓られた耳は僅かに赤くなってる。って言うか・・・

「及川さん、顔赤くない?」

若干及川さんの顔が赤くなっていることに気づく。
それに、余り目線も合わせてくれない・・・


「別に赤くなってないし!」

「いや、赤いよ、熱あるんじゃない?」

グイッと浴衣の袖口を引いてみる、と及川さんはばっと振りほどいた。

え・・・・・・


「だから赤くなってないって!」

そう言い放つ及川さんの顔はやっぱり赤いと思ったけれど、何だかムキになってるみたいだし、これ以上追及するのはやめておこうと思った。

振り払われた手が、少しだけ寂しいけれど、ゆっくりと引き戻す。


と・・・


「あれ?北村さん?」

聞き覚えのある声に振り向くと、そこには・・・

「国見くん!」

見慣れたセンター分けの髪に、紺色の浴衣に身を包んだ国見くんが立っていた。

「及川さん、さっきはお疲れ様でした」

国見くんは私たちに歩み寄ると、及川さんにペコッと頭を下げた。

「あら?国見ちゃん珍しいね、まだ残ってたんだ。祭りなんて興味ないって毎年帰ってんのに」

「今年からマネージャーやってるんで、サイン会とかの会場の片付けとかミーティングとかで残ってたんですよ。これから帰ります」


選手の人はすぐ解散出来るけど、スタッフの人はそうはいかないんだ、大変・・・


「大変だね、お疲れ様」

「別に大した仕事はしてないけどね。・・・それより北村さん、その浴衣・・・」

国見くんは無気力な瞳で私を頭からつま先までじっと見た。

「あ、これ?及川さんのお母さんがくれたものなのっ」

珍しく私に興味向けてくれている感じだったので、調子に乗って袖を持って柄が良く見えるようにする。

「へへへ、似合う?」


なーんてね・・・国見くんはそう言うのノーリアクショ・・・

「うん、可愛いと思う。似合ってるんじゃない?」

「っ!?」

さらりと返された言葉に、私も・・・及川さんですらも目を見開いている。

そんなあっさり褒めてくれるもんなの!?あの国見くんだよ!?


「っと〜、国見ちゃん、何か悪いもん食べた?」

「どういう意味よ、それ」

おずおずと国見くんに声をかける及川さんをキッと睨みつけた。


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