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おかえり〜I'm home〜(R18)

第14章 summer memory⑨





ーーー・・・



「あー・・・馬子にも衣装ってこの事かーって思ってさ」

まぁそんな淡い期待通りに行く訳もなく、案の定及川さんの口からはそんな言葉が出てきた。


「なによー、わかってますよーだっ」

いいんだけどね?分かりきってるから。
・・・でも、今日は、及川さんと出掛けられるし怒んない。

私は及川さんの姿を頭からつま先までマジマジと見る。
黒の浴衣・・・かっこいいな。悔しいけど、何着ても似合う。


「なーに、俺が浴衣似合ってんのに嫉妬してんの?悪いけどこればっかりは奪えない才能だからさ」

「何も言ってないし・・・」

どれだけかっこいい姿でいても及川さんは相変わらずだから・・・何だか勿体無いなーって思っちゃう。

残念なイケメンって及川さんのこと言うんだろうな・・・



「あ、今なんか失礼なこと考えてたでしょ?」

「別に考えてないからっ」

疑いの目を向けられてドキリとして首を振る。
ま、完璧過ぎないのが、及川さんのいいところだと思う。

「ふうん?ま、別にいいけど。それじゃ、そろそろ行く?」

及川さんは鳥居をくぐって、石段の上を指す。
そこは赤提灯の灯りと共に沢山の人が行き交っていて、出店も賑わっている。

及川さんからは似合ってるとか、あまり褒められなかったけど、そのお祭りの景色を見ると一気に気分が上がった。


「うんっ!」

下駄を鳴らして、私たちは石段を登り始めた。




ーーー・・・



「いっぱい出店もあるけど、りおは何食べたいの?」

「りんご飴!」

「ならあっちに・・・「あとたこ焼きに焼きそば、フランクフルトでしょ?かき氷に水飴も食べたいな!あ、チョコバナナも忘れちゃダメだよね!」

「・・・・・・・・・そんな食うの?」


食べたいものを指折り数えていると、明らかに引いた視線を送ってくる及川さんがいた。

「え?うん」

「食いすぎでしょ、ま、その分栄養が胸に行かないのがかわいそ・・・いででででっ」


及川さんの言葉が終わる前に、彼の耳をつねる。
ほーんと、余計なことばかりいうんだから。

「折角連れてきてくれたんだし、お祭りでしか食べられないもの沢山食べたいのっ」

「まぁ、ここら辺の祭りは今日で終わりだしね。満足いくまで楽しめば?あ、満腹になるまでか」


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