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おかえり〜I'm home〜(R18)

第14章 summer memory⑨





《りおside》


ーーー・・・




"紫陽花の花言葉ってね、一般的には浮気とか、傲慢、無情とか・・・そんな言葉が目立っちゃってるけどね?紫陽花には色が沢山あるように、花言葉も沢山あるのよ・・・。これから言う花言葉はりおちゃんにピッタリだと思うわ・・・"




叔母さんから貰った浴衣は、すっごく女の子らしくて可愛い柄だった。浴衣なんて着るの何年ぶり!?ってくらい久々だし、それも及川さんと行く夏祭りに着ていくなんて・・・

やっぱり恥ずかしい。

「すっごく似合ってるわよ〜、りおちゃん。この柄にして良かったわぁ」

着付けしてくれた叔母さんは、次はヘアセットとメイクをしてくれている。こう見えて叔母さんはプロのメイクアップアーティストだったらしく、着物やドレスの着付けも、ヘアセットもメイクもお手の物。魔法のように私の髪の毛を操って可愛らしい髪型にしてくれる。

「はい、ちょっと瞼を閉じてね・・・うん、りおちゃんは本当素材が良いから少し色のついたシャドウ入れてあげるとパッと華やかになるわねぇ」

今度はメイク。こんな下地から何から人にしてもらうのは初めて。叔母さんもノリノリでしてくれるから何だか恥ずかしいのもあるけど、嬉しい。

「・・・さ、どうかしら?」

メイクが完了した後、鏡に映った自分の変貌に驚いた。

「こ、これ私ですか!?」

「そうよ〜、可愛いわ本当に!これでお祭りに来てる男の子はイチコロね!」

満足気に叔母さんは笑ってくれた。

イチコロって・・・


(お祭りに来る沢山の男の人より・・・)


たった一人の心を奪えたらなぁ、
なんて・・・決して言えないけれど・・・


「徹も開いた口が塞がらないんじゃないかしら?」

「そ、そんなことないですよ・・・」

私の心を読んだみたいに、叔母さんが彼の名前を口にするから、ドキッとしちゃう。


「さぁ、行ってらっしゃい!」

背中を押すように叔母さんが送り出してくれる。

(及川さん・・・ちょっとは女の子になった私のこと、意識してくれないかなぁ・・・)


そんな、淡い期待を胸に秘めながら小物の入れた巾着を持って、家を出た・・・ーーー






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