第13章 summer memory⑧
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ふるさと公園は、体育館から車出せば結構近い距離にある、高台に作られた公園。
昔は岩ちゃんと山へカブトムシ取りに行って、捕まえたカブトムシをあの公園で相撲させんのが好きだった。
あそこで習いたてのバレーの練習もしたっけ?
俺らの地元の町の風景を一望できるそこは、思い出の場所だった。
そして、その思い出の場所に案の定、りおの姿はあった。
(あいつ・・・何してんの?)
地面に何か置いて、それに火をつけている。車の中からその光景を見ていることには1ミリも気づいてないみたいだ。
辺りはりおの他に人はいないみたいだし、日の長い夏だからって言っても、7時前になれば結構薄暗い。
時計を見れば6時38分。
指定された時刻よりは早いけど・・・
俺はドアに手をかけて、外へ出た。
「ねぇ、何の儀式やるつもりだよ」
「ええっ!?、えええっ!?」
こっちに背中向けてしゃがみこんでいるりおに声をかける。突然後ろからした声に、りおは心底驚いた顔をして振り向いた。
「なっ、なんでいんの!?」
「何でって、来いって言ったじゃん」
「言ったけどこんな早く!?」
スマホを開いて時刻を確認してる・・・あ、こっち見た。まだ7時なってないじゃんって言いたそうな顔してる。
「まだ、7時なってないっ」
思ったことがほんと、顔に出る子だな。素直すぎ。
吹き出しそうになるのを、微笑んで隠す。
「20分前行動?笑」
そうピース&ウィンクすると、すーっごい白い目で見てくる。
「こんな時だけ・・・」
「はいはい、で?俺をこんな所に呼び出して何しようとしてたの」
そう言ってりおの後ろのものを覗こうとした・・・
「だっ、だめっ!」
「え?」
りおは俺の手を掴んだかと思うと、そのまま俺を正反対の方向へ向かせた。その手を掴んだまま、俺を見上げた。
「待って!まだ、完成してないから・・・まだ見ちゃだめっ!」
そう言って俺を見上げる小さなりお。ピンと背伸びなんてしちゃって・・・
そんな必死に懇願するからさ・・・
ちょっと、ドキッとしちゃったじゃん・・・