第2章 spring memory②
ーーー・・・
「ここが、リビングね。そっちがお風呂場になってるわ。りおちゃんの部屋は2階に用意してるの。届いた荷物は上に運んであるから」
仙台の家はみんな広いのかな?
東京で住んでいた私からすると、とても広々した家の中。
東京だったらこんな家、どれくらいのお金持ちなら買えるんだろう、なんて思いながら叔母さんの話を聞いていた。
「それにしてもりおちゃん、叔母さんびっくりしちゃった!」
「え?」
「あなた引越しの荷物すっごく少ないのね!お洋服とか、ちゃんと持ってきてるの?」
あぁ、そう言えばあまり持ってきてないな。叔母さんの家とは言え、居候の身である以上、送ったダンボールの荷物はまとめにまとめて二、三個だったはず。
私服も、3着くらいしか入れてなかったと思う。
「はい、何着かはあります・・・」
「えぇ!?も〜、気遣ってるんでしょ〜ダメよ。もうりおちゃんはうちの家族と同じなんだからっ。クローゼットも新しいの買ったし遠慮は無しよ!叔母さん、入社祝に買ってあげるわ!」
突然の叔母さんの言葉に、私は目を丸くした。
「そんな、いいですよ!お邪魔する身なのに申し訳ないですっ」
首と手を振って断るも、叔母さんは聞いていないのかどこのお店のがいいかしら、なんて呟いてる。ひゃ〜なんだか、本当、叔母さんいい人だ。
なのに・・・
「ぷっ」
後ろで吹き出す気配がしてちらりと振り返ると、思った通りの人物がパスタを食べながらニヤニヤとこちらを見ていた。
「母さんね、一度言い出すと聞かないから大人しく甘えたら?りおちゃん?」
むかっ。急速に苛立ちが巻き起こる。
なーにがりおちゃんだよ、この男。
この余裕ぶっこいた顔。昨日私に平手打ちされたのなんて、記憶に無いみたいにしれっと話しかけてきて、ほんと、何様なの。パスタ美味しそうだし。
叔母さんはうんと優しいのに、息子は何でこんな・・・って、これから一緒に住むんだから、叔母さんの前で荒波を立てるのはよそう。
私は頬の肉を引き攣らせながら、
「そうですね、甘えちゃいますっ」
なんて笑って見せた。