第12章 summer memory⑦
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日曜日。練習相手三日目。
いつものように及川さんは体育館の端っこでシューズを履いて、私はギャラリー席へ上がる。
「りおさん、はざーす!椅子、用意しときましたんで!」
3日も来ると、高校生たちは私のことも覚えてくれたみたいで名前で呼んでくれる。なんだか弟みたいで皆可愛いなぁ。
「うん、ありがとう!あ、あとね、これ!練習前にみんなで良かったら食べてください」
「え、なんすかこれ?」
「レモンを輪切りにして、蜂蜜で漬けたの。はちみつレモンってやつだよ」
「うぉー、りおさんの手料理、あざっす!頂きます!」
手料理って程でもないんだけどね。全力で喜んでくれる高校生が可愛くて微笑ましい。
「あと、体育館の入口に置いたスポーツドリンクの入ったダンボール、ちょっと重たいんだけど持っていってね」
先程及川さんにスーパーへ寄ってもらって購入し、そしてここまで彼に運んでもらった品を指さす。
「何から何まであざっす!」
「ううん、私はこういう事しか出来ないから・・・。練習、頑張ってね!」
と笑ってみせると、照れくさそうに頭をかいた。あ、照れてる、可愛い。
クスリと笑いそうになるのをこらえてヒラヒラと手を振り、彼を見送る。そして再び下を見ると、国見くんが合流したみたいで、一緒に話しながら靴紐を結んでいた。
今日がお手伝い最終日・・・
高校生も、岩泉さんも国見くんも、及川さんも・・・、
(みんな・・・がんばれっ!)