第12章 summer memory⑦
「お前専用とか絶対ストレスで禿げる」
「確かに、色々大変そうですね」
「酷いな岩ちゃん!国見ちゃんも便乗しないで!」
少し監督と話をしていた岩泉さんと国見くんがやってくる。
私は岩泉さんと目が合うとぺこりと頭を下げた。
その節はどうも、という意味を込めて・・・
「でも何か高校ぶりに岩ちゃんにトスあげたのに全然久しぶり感なくて自分でも怖いなぁ」
「お前のトスは前よりも精密になってる気がする。褒めてやる」
「何キャラ岩ちゃん!?」
バレーしている時は、別人のようにボールを操る達人だけど、
岩泉さんと話をしてる時は、昔の旧友にあった時のように安心した表情だ。
話している彼はいつもの彼で、
岩泉さんの前ではもっと素の彼で・・・、
私の知ってる及川さんで・・・
少しほっとした。