第12章 summer memory⑦
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「ほら、もう1本行くよー、レシーブする面を早く作んないと上げれないからねー」
「はいっ!お願いしまーす!!」
ボールを打つ音、ボールが床につく音、シューズの擦れる音、掛け声が体育館に響く。2回のギャラリー席で見ていてもわかる背の高い男子高校生の皆に混じって、及川さん、国見くん、それと岩泉さんが練習相手をしている。
今はAチームとBチームに分かれて試合をしていて、Bチームに入っている及川さんのジャンプサーブでもう三本連続得点している。
前衛レフトには岩泉さん、ライトには国見くんが入っていて、ボールがこっちに返ってきたら、及川さんは二人にトスを上げている。
今度青城が対戦する相手が、両サイドにトスが集まりやすいチームらしくて、それを想定した練習みたいだけど、岩泉さんも国見くんも高いブロックを躱して打ったり、端っこに当ててブロックアウト(こないだ及川さんに教えて貰った)したり、加減してると思うけど高校生を圧倒的に出し抜いている。
そしてそれ以上に、やっぱり及川さんのプレーには目を奪われた・・・。
サーブも、トスも、レシーブも・・・スパイカーの人に比べると目立たないプレーをしてるはずなのに、その一つ一つが丁寧で時に大胆で、高校生とは次元が明らかに違う人だ。
(これがプロ選手のレベルなんだ・・・)
リーグで優勝したチームの司令塔。
みんなが太鼓判を押す理由が分かる。
及川さんって本当に、すごい人なんだ・・・
なんだか急に、遠い人に感じてしまうなぁ・・・ーーー