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おかえり〜I'm home〜(R18)

第10章 summer memory⑤





ーーー・・・



カチャカチャ・・・とキッチンで物を扱う音が聞こえる。

ゆっくりと、階段を降りてリビングへ向かうと、テーブルの上に置かれたサラダ、オムレツの乗ったプレート、フルーツカクテル・・・

そしてその奥のキッチンに・・・


「・・・・・・りお?」


昨夜ボロボロだった俺を包んでくれたりおの背中を見つけた。

エプロンをつけたりおが、おたまを片手に振り返る。


「あ、起きたんだ!おはよ、及川さん」

目を丸くした。

いつもと変わらない声、

いつもと変わらない笑顔、

いつもと変わらない佇まい・・・

何もかもが普段通りのりおがそこにいたから・・・。


「え・・・?」

「なーに?そんなに呆けた顔して!先、顔洗ってきたら?」

「いや・・・」

「じゃ、早く座って?一緒に食べようよ」


りおに言われるまま、いつも座る席へおずおずと腰を下ろす。すると、サラダが、プレートが、炊きたてのご飯や味噌汁のお椀が次々と目の前に置かれる。

俺はそれらといつものように朝食を作ってくれたりお・・・交互に見た。

「・・・なに?」

きょとんと首を傾げる、りお。昨夜の俺の腕の中にいた時の、女の顔をしてたりおとは打って変わって、いつもの、サバサバとした顔つきだった。

「お前さ・・・」

「ほら、折角ご飯も炊きたてなんだし、食べて食べてっ」

そう言って、箸を渡してくれる。

「・・・・・・・・・」

持たされたお椀と、お箸。

「食べないんだったら、貰っちゃうよ?」

「・・・食べるし」


りおの催促のもと、俺は豆腐とわかめの味噌汁に口つけた。



・・・・・・・・・・・・


一口、喉を通らせると口を開いた。



「・・・・・・しょっぱ・・・」

「えっ、うそ!」

驚いたりおの表情が、滲む。

「・・・え、及川さん・・・?」


目頭から溢れた液体が、
ぱたぱたとテーブルクロスに染みを作る。


「しょっぱいし、・・・ほんと・・・」


涙の混ざった味噌汁やご飯を食べる手が、止まらない。
くそ、美味しいってか・・・


優しすぎんだよ、お前・・・





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