第10章 summer memory⑤
ーーー・・・
射し込む初夏の日差しに目が覚めると、抱きしめていた温もりは忽然と消えていた。
「・・・・・・」
俺自身にかけられた布団から体を起こして、自分の手元に視線を送る。
あのまま、眠っちゃってたのか・・・
昨夜の記憶が鮮明に蘇ってくる。
夢じゃない。何もかも・・・
「・・・っは、どんな顔して、あの子に顔合わせればいいの」
俺の私利私欲で抱いてしまった。
全く関係の無いりおのこと。
あの優しさに、甘えてしまった。
事が終わったあと、あんなに偉そうに決意を顕にしたのに、いざとなると、待ち構える現実に逃げ出したくなる。
現に今、隣にあの子がいないのが、こんなにも胸を締め付ける。
当たり前か・・・最低なこと、したんだからな
当然の結果なのに、俺ってこんなに弱くなってたのかな・・・
自分が情けなくて、もう一度布団に背中を預けて天井を見上げる。
「幸せになりたい・・・」
そんな漠然とした願いをただ口にした・・・
すると、
「・・・ん・・・・・・?」
僅かに開いた部屋の戸。そこから微かに香るいい匂い・・・
「下から・・・?」