第10章 summer memory⑤
《及川side》
ーーー・・・
押し寄せる快楽の余韻に浸っていた。荒い呼吸を整えながら、俺はりおの体内から自身を抜く。付けた避妊具の中に吐き出された欲の処理をした後、気を失ったりおの体・・・、
俺が汚してしまった体を綺麗に拭いてやった。
俺を受け止めてくれた白い体・・・
あどけない表情をした寝顔には、涙の跡がいくつもの筋となっていた。
「ごめん・・・」
さっきまで俺を受け入れてくれていた小さな体を抱き寄せて、その顔についた髪の毛を払ってやる。
出会うタイミングが違っていたら、
この子を好きになってたかもしれない・・・
そんな中途半端な言葉を口にした所で、
今はりおも、俺自身も救われるはず、ない。
だから、言っちゃいけないと思った。
俺の心は、まだ俺を捨てた"彼女"のことを想い続けている。
忘れたくても、終わりにしたくても、心に嘘がつけない。
それでも、と勇気を出して俺を受け入れてくれたこの子に、どんな形であれ俺は何を返したい。
だから俺はいつか、
覚悟を決めて進まなくちゃいけない。
俺にとって、本当の意味で前に進めるように。
わかってる・・・。
今、すぐにその選択をすることが出来ない、弱い俺だっていうのも、わかってる。
「・・・ごめん・・・っ・・・」
りおを抱きしめる力が強くなる。壊れそうな小さな体。
りおからの確かな温もりを感じながら、俺は気絶するように、暗闇の中へ意識が持っていかれるのを感じたーーー・・・