第9章 summer memory④
"これはテメェの問題だがな・・・、テメェひとりで解決しようなんて、思うなよ。・・・お前を待ってる人は、ちゃんといる・・・"
俺を待ってる人・・・
こんな最低な自分を待ってくれている人なんて・・・
"及川さんっ!"
"またリクエストはハンバーグ?飽きないわね〜"
"ほんと、そのナルシスト発言無かったらちょっとは見直すのに"
"これ、食べてみてっ、夏みかん剥いて作ったゼリー、及川さんきっと気に入るよ!"
"え、このお菓子、私に?・・・あり、がとう・・・"
あぁ、いてくれたのかな。こんな、近くに。
あの雨の日、酷く、酷く傷つけてしまったけれど、今でも帰りを待ってくれてるのかな・・・
りお・・・。
窓を閉める。ガラス越しに映った自分の唇の端には、彼女に噛まれた跡がある。それを指でなぞり、あの夜を思い返す。
・・・許して、くれるだろうか。
許すにしろ許してもらえないにしろ、散々お世話になったここには居られないよね。
ちゃんと帰らなくちゃ、なーーー・・・