第9章 summer memory④
ーーー・・・そこは予想していた通り、
俺たち夫婦が愛し合った部屋では、
俺の妻と・・・、知らない男が裸体で抱き合っていた。
彼女の甘くとろけた瞳は、驚愕の色を浮かべていた。
「な、んで・・・」
そんな事を呟く彼女の、そんな顔を見たくは無かったんだけどなぁ。
「そういう、こと・・・」
いつも笑顔の彼女、俺の一番愛した彼女、
だけど俺の他にも・・・代わりはいたんだね・・・
・・・不倫。意識したことのないその言葉に、自分も巻き込まれるなんて・・・、思いもしなかったよ。
ーーー・・・
それから俺は、問答無用で彼女にシーツを被せ、男と一緒に、二人の関係がひと目でわかるような写真を撮った。
男の身元も聞き出し、忘れないようにメモする。
男の顔は蒼白で、少しでも突き飛ばしたら気絶してしまいそうなくらいだった。
我ながらあの時は、よく冷静に行動できたものだよ。
このふたつは"いつか"のための、強い物的証拠になる。
そして俺は・・我が家を出ていった・ーーー