第4章 初めての感情
「私はなんてすごいものを見てしまったんだ…」
「でもほら、中身はそんなにきれいじゃなかったでしょ?」
そういうと夢芽ちゃんはうつむき、
「…正直、本にこんなに汚く書き込むなんて!って思いました…」
と言った。
「ふふ、そうだろうねぇ」
特にエレンは書き込む量が多いしなあ。
ふと見ると、マグカップは空だった。
「さ、そろそろ寝ようか。」
「はい。ありがとうございました。」
マグカップを片付けて、夢芽ちゃんを部屋へ送り、そして自分も部屋へ戻った。
「よいしょ…っと。」
ぼふっとベッドへ体を投げた。
「ゆうきさんを知った、初めての作品だったから、か…」
少し嬉しいような恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになった。
久しぶりに感じたそのくすぐったさを胸に、俺は眠りについた。