第2章 お邪魔します
「あ、あの、これっ!」
私は握りしめていたひまわりの袋を差し出す。
「え?わざわざありがとう。」
受け取ってもらった直後、あれ?と首をかしげるゆうきさん。
「ど、どうかしましたか…?」
その辺のパン屋のラスクなんてお気に召さなかったかと落ち込み気味に聞いてみると、
「俺、このお店知ってる。」
まさかの返事が返ってきた。
「え!本当ですか!!」
「うん。ここのメロンパン、おいしいよね」
「うれしい!私、ここで働いているんです!」
「え?そうなの??」
少しの沈黙の後、
「「あ!!!」」
同時に声をあげた。
「土曜日のお兄さん!」
「レジの子!!」
まさか、お店のお客さんだったなんて。
お互いあははっと笑う。
お母さんたちが向こうで「なに〜?どうしたの?」とこちらを見ているが、そんなの目に入らないくらいに笑った。
「なんだ、俺、夢芽ちゃんのこと知ってたんだ。」
笑いながらゆうきさんが言う。
「私も、ゆうきさんのこと知ってたんですね。あーびっくりした!」
「これからよろしくお願いしますっ!」
「こちらこそ。よろしくね。」
ゆうきさんから差し出された手を、両手で握った。
楽しく暮らせそう。
心からそう思った。