第1章 始まりは青
シゲとは2〜3度言葉を交わし
着信が入ったと嘘をつき
静かに通話ボタンを押した
今日は人生で最大の
晴れ舞台になりそう……
売上は順調で
控え室に張り出されている
指名グラフはダントツで私の名前
みんなが私を見に来る
初めての人だって
逃しはしない
骨だけになるまで
私に貢げばいいのよ
鼻歌交じりに歩幅を進め
辿り着いたビルは
まだ灯りが灯っていない
私は気にせず
エレベーターのボタンを押し
開かれた空間にそのまま
入っていった
目指すは5階の
[club Queen]
飲み屋が集うこの街で
一番レベルが高いとされる
名店中の名店
黒服のボーイの
接客マナーはもちろん
キャストもそこらの店に出したら
たちまちナンバーワンを
取れるような女の子ばかり
それでも、
私にはみんな勝てないから笑える
エレベーターのドアが開くと
早速店長がお迎えに来た
「さん。
今日凄い数の電話が鳴ってますが
お客様の選抜は如何されますか?」
「手帳に
今まで使った金額メモしてるから
高額ボトル入れてくれる人中心に
リストアップしてる。
来店予定以外の人は
リストの中からお店に入れてくれる?」
バッグから赤色の手帳を渡すと
店長は、流石です。と付け加え
衣装部屋へと私を案内した