第1章 始まりは青
向かう先は
働いている高級クラブ
本業は学生なんだけど
なんせ私には身寄りがいないから
学費は必然的に
自分で稼ぐしかない
もう来年卒業だから
ほとんど授業もない今の時期
家にいても暇だし
稼ぐだけ稼いで
学費も全部払って
将来の為に貯金を残しておくのも
必要だと思ってるの
それに今日は
今のお店に勤めだしてからの
最大のイベントが待っている
年に一度の
一大イベント
水商売の一大イベントって言ったら
もちろん
自分のバースデーに決まってる
沢山の鴨が
ネギを背負って来るんだから
懐は暖かくなるし
いつもに増して
私にだけスポットライトが当たるのは
やっぱり気分が高揚する
1人でそんな事を考えながら
大学の目の前にある
コンビニを通過しようと
した時に
「!」
誰かに呼び掛けられた
どこにでもいるような
チャラそうな男
一瞬誰だかわからなかった
が、相手の横に停まってる
車を見て思い出した
センスのない日本車……
もっとカッコいい車は
日本車でもいっぱいるあるのに
何故男なのに
マー〇なんだ……
女だったら
可愛いかもしれないが
そう……
確か名前は『重信』
名前も何だか微妙……