第2章 厨二病な世界
赤髪君は
軽い足取りで
私が横になっているソファへ歩いてくると
王子様(仮)の肩に両手を置き
ギザギザの白い歯を見せて
微笑んだ
「まずは自己紹介させて下さい!
俺の名前は、切島鋭児郎。
この人は、ファットガム事務所を
経営している、
ファットガムっス。
そして、あっちの壁にいるのが
俺の先輩でもあり、
今、一緒にファットガム事務所で
ヒーローインターン活動中の
天喰環先輩っス!」
──ごめん。
ちょっと聞き慣れない単語が
いくつかあったから
ツッコミたいんだけど
ここは我慢した方がいいのか?
「丁度、街中のパトロール中に
お姉さんが降ってきて
ファットが個性で
助けたんスよ。」
「……つまり、この人が
私をタイミング良く
キャッチしたと言うわけ?」
説明を受けて
半分以上は疑問を残したまま
ファットを見ると、
当の本人は
ニカリと満足気に笑う。
子供のような笑顔。
話しが出来過ぎていて
全く飲み込めない。
それに、落ちた後の記憶はないにしても
落ちる前の記憶は覚えている
この男に
私は見覚えがない。
なんなんだ一体?
しかし今は
他にも確認しなければならないことが
多すぎるので
それについては後回しにした
「ヒーローって何ですか?」