第1章 始まりは青
案内された突き当たりを曲がると
真っ暗闇な空間が広がっていて
私はスマホの明かりを頼りに
ステージに上がる
ステージにはまだカーテンが張ってあり
私の姿はお客様には見えない
ドクン
ドクン
お客様の賑わう声と一緒に
自分の心臓の音まで聞こえ出す
[それでは、本日の主役
さんの登場です!!]
マイク音と共に少しずつ開かれる
カーテン
ライトはもちろん
私の方に向いていて
眩し過ぎて何も見えない
私は一歩足を踏み入れ
ライトの中へと吸い込まれるように
………
………………
………………??
「う……ッそでしょ?!!!」
行ったはずなのに……
何故か光の先の景色は一変していて
澄み渡る青空が視界に映る
そればかりではない
バタバタとなびくドレスに
強い風
心臓が浮くような妙な圧迫感に加え
ハイヒールは空回りする
「……何ッで!落ちてんのよ──────ッ!!」
そう
私は何故か
空から真っ逆さまに落ちていた。