第1章 始まりは青
誰もいなくなった室内
携帯を開き
今日来店予定のお客様の
最終チェックをしながら
乾きかけた口元に
再び淡いピンクのグロスを乗せる
鏡の前で勝ち誇った顔をする私は
どこからどう見ても完璧
自意識過剰?
そんなの分かっているけど
過剰なだけじゃない
私には実力もある
世の中って
本当に平等に出来ていないわよね
小さく鼻唄を唄い
ポーチにグロスをしまった時
遠慮気味に後ろのドアがノックされた
「さん、開店してお客様は全て
テーブルに案内しましたので
ご準備お願いします。
さんがステージに上がると同時に
ライトアップしますので。」
閉じられたドアからは
さっきの店長の声
私はポーチの中からフリスクを出し
2〜3粒口に含み
鏡の前の自分を再確認した
……行ってくるよ
私、最高の日にしてくるよ。
………と