第3章 裁縫箱
ぎゅん、ぎゅんと、彼女の疲れなどお構いなしにバイブは責め続ける。
身体がビクビク痙攣する。
もうダメ、イっちゃう、イきたい、イきたい。
中とクリと、一番気持ちいい所に当たるようにギュウと強く押し付けた。
機械が乱暴にかき乱す。
「んんっ………!っぅう………!ぃぅんんっ……!」
熱いものが全身を貫いた。ガクガクと腰が震える。自分の身体ではないみたいに。
「う…はぁはぁ…はっ…」
バイブのスイッチを切った。途端に静かになる。部屋には、有の荒い息づかいだけが響いた。
まだキツくバイブを咥え続ける膣口から、ずぐりとそれを引き抜いた。己の愛液でドロドロになっている。
はぁ、と一息ついて、有は性具の後処理を始めた。
行為が終わって冷静になると、ひとりでこんなことしてるのって、なんだかバカみたいだな、と思えてくる。けれどセックスはしたくなかった。
自分の全身を人にゆだねる。無防備な姿を晒す。みっともない体勢をとる。恥ずかしい声をあげる。悶える顔を見られる。どれもこれも、情けない行為だ。
自慰に積極的であるとはいえ未だ処女の有にとっては、心を許していない人間にそれをすることは、難しく思えた。
いつか、セックスを許すほど人を信頼できるだろうか、そんなことを考えながら、ぼんやりと秋也の顔を思い浮かべた。