第22章 犯人とのヒトコマ
2月のとある日
デートは無事終わったがものの見事に私は敬語に戻っていた
イルミさんも出会った頃は敬語やめてなんて言っていたが私に関しては慣れてしまった様で
やっぱり敬語が良いと言うのでその言葉に甘えている
閉園後に合流した藤木カップルも順調な様でなによりだ
そんな平和なある日
帰宅するとちゃぶ台の上に豆腐が置いてあり、更に豆腐には使い古された様な針が刺さっていた
「え………なにこれ怖い………」
此処は自宅の居間の筈だ
世界中で一番寛げるマイスウィートホーム(賃貸)で一体何の儀式が執り行われているというのか
まじまじと観察してみるも
やはり只の豆腐に針が刺さっている
「………豆腐嫌い……?」
この謎の物体を造り上げたのは他でも無い同居人だろうが当の本人は外出中だ
最近 散歩 と言っては外出する彼に不安は覚えているもののずっと部屋と図書館の往復では息も詰まるだろうと何も言わないでいる
ストレスから豆腐に八つ当たりしたのだろうか……
今までの彼の食卓風景を思い返すが特に豆腐を嫌っている様子も無く ストレスから殺人衝動を抑える為に豆腐に刺したのだろうかと推測する
………何故豆腐なのだろうか
刺し甲斐なんて皆無じゃないだろうか
気分は名探偵コ○ンだが全く事件の全貌が掴めない
冷蔵庫を確認する