第21章 Wデートに行きましょう…?
「これ?」
「うん!」
メリーゴーランドを前にして彼は何とも微妙な表情を浮かべたが先程同様背中を押してすぐに乗り込んだ
イルミさんが鬣のピンク色をしたファンシーなお馬さんに跨がるのは何とも不釣り合いで可愛いが止まらない
キュートなメロディと共に上下するイルミさんはやはり無表情で笑ってしまわない様に頬の内側を噛んで耐える
…………しかし、彼の凄い所は纏っている雰囲気や外見を全てひっくるめて王子様感を醸し出していて流石としか言い様が無かった
感心する事でせっかく止まっていた笑いの波だが
くりっと首を傾げて考え込んだ後に私の方を向いて怪訝な目で【なにこれ】と訴えてくる彼に盛大に吹き出してしまった
(ごめんなさいイルミさん、めっちゃ可愛いよ!)
いかにもメルヘンな音楽が流れる中彼は不服そうに馬に跨がっていた
「イルミさん!どうやった?メリーゴーランド」
「同じ所回るだけで何が楽しいの」
「私は楽しかったよ!」
「俺の事笑ったでしょ」
不満顔のイルミさんに頬を摘ままれる。痛い。
「ごめん。可愛かったから」
「…………」
若干目を細めた後に何も言わず頬を解放されて、ふい、と違う方向へ歩き出す彼の後を追う
(笑ったらさすがに失礼やったよな………怒らせたかな……)
「イルミさんごめんなさい!不愉快やったよな………怒ってる……?」
「はぁ………別に怒って無いよ」
「ほんま……?」
表情が見えず不安になってもう一度確認する、と
ポンポンと頭を撫でられ
「次は何処に行く?」
と何時もの調子で言われた
声色から怒ってはいない様で安心した
……………しかし……今日の彼は普段より一段と思わせ振りな態度なのは私の気のせいだろうか……