第20章 Wデートに行きましょう
アトラクションが進む中全神経を背後に集中している私は紛ごうこと無く変質的だろうが想い人の彼と密着しているだけで気が気では無いのは純粋な恋する女の子だという事にしておいて欲しい
気が付く頃には叫び声の説明アナウンスが流れていて自然と喉の調子を整える
「イルミさん、叫びポイント!」
「わかった」
私達は同時に叫んだ
普段声を張らない彼の何処からあんな声量が出たのだろうか
見事に無感情で棒読みの「わー」という叫び声は大きく響いた
「イルミさん凄い!」
「まぁね」
気持ち振り返り言うと少し得意気な声色が聞こえてきて私は笑ってしまった
先にアトラクションを終えた二人と合流する
盲点だったが数値は自分達で見られ無いので藤木カップルの数値が解らず勝負は付かなかった
そして思いの外水を被ってしまい……………非常に寒い
嬉々として次の行き先を提案する藤木と亜弥南ちゃんには悪いのだが膝が今にも生まれたての小鹿の様に震えてしまいそうな程寒い………私の唇の色は死んでいないだろうか……調子に乗ってスカートなんて履くんじゃなかった
風が容赦なく脚を吹き上げて熱が奪われて行く
そんな事を笑顔を張り付けながら考え込んでいると
「沙夜子冷えちゃったんじゃない?二人には悪いんだけど暖かい所で俺達は少し休むよ。ここからは別行動でも良い?連絡は取り合える訳だし」
イルミさんが私の異変を察して今正に求めている事を代弁してくれた
「ほんまやめっちゃ寒そうやん!気付かんくてごめんな!アヤ達そんな濡れんかったから」
「風邪引いたら大変やしな!OK~!また連絡するわ!」
二人は私を見た瞬間そう言ってくれた
亜弥南ちゃんに至っては謝ってくれる程気遣ってくれて申し訳ない気持ちになり私は何度も謝り二人と別れた
_______"
どの辺りにカフェがあるのだろうか……二人と別れてキョロキョロしていると
イルミさんが自身の上着を私の肩にかけて「こっち」と肩を抱いて歩き始めた
(っ……………………!!!!!!!!)
イルミさんは時折非常に紳士的だ
こんな素敵なエスコートをされてときめかない女性等居るのだろうか
私は大多数の女性と同様にときめきで顔が赤らむのが解ったので俯いてカフェまでやって来た
彼のコートは身長差から丈が長く本当に暖かかった