第20章 Wデートに行きましょう
藤木カップルに冷やかされつつも私達の順はやって来て
ジェットコースターに乗り込む
空席の都合で藤木と亜弥南ちゃんとは少し離れた席になったが思いの外早く乗り込めた
「ねぇ沙夜子、これって何なの?」
「うーん………くねくねのレールを猛スピードで走る乗り物……?」
「面白いの?」
「…………私は好き………イルミさんはどうかな………」
何てひそひそと話しているとけたたましいアラーム音が鳴りアトラクションは動き出す
私は楽しくて降下中に万歳したりしてあっという間にスタート地点へ戻ってきた
隣を見るとキラキラと瞳を輝かせるイルミさんと目が合った
「……これ楽しいね」
「良かった!」
…………………っ可愛い。真顔ではあるが明らかに気に入った様子が見てとれて可愛い。この分なら他のアトラクションも問題無さそうで一安心だ
次は亜弥南ちゃんの希望で急流滑りに行く事になった
日本で一番寒いこの季節に空いているという事とこれから昼にかけて今よりは幾分か温かくなるだろうとの事で先程より少ない列に並んだ
しかし、ひら○たパークの急流滑りは通常の乗っているだけのアトラクションでは無く
叫ぶ声が数値化されてちょっとした電工掲示板にランキングが載るシステムになっている
藤木はそこに目を付けてカップル同士どちらが大きな声をあげられるか勝負、と提案してきた
……叫び声……イルミさんから最も遠い言動な気がする
「イルはそんなキャラじゃないし……「良いよ」
(…………まさかの全ノリ………)
彼氏役として彼なりに頑張ってくれているのかもしれない
せっかくなので盛り下がら無い様にイルミさんのお言葉に甘えておく事にした
四人乗りも出来るが敢えて二人ずつ乗る事にして先に藤木カップルが出発した
程なくして私達も乗り込む
身長差的に私が前でイルミさんが後ろなのだが
やけに近くてどぎまぎしてしまう
こんな調子で叫び声等出るのだろうか……
「イルミさんほんまに叫べる……?何かごめん」
「別に」
思いの外近くから声が聞こえてドキッとする
密着率………相当なものだ