第20章 Wデートに行きましょう
「よっしゃ何から乗るー?」
「沙夜子ちゃん達ジェットコースター大丈夫?アヤ大好きなんやけど!」
園内マップを広げる
「私達もジェットコースター大好きやで!」
私は実際絶叫マシンが好きだ
彼の事はわからないが物凄い勢いで飛んだり跳ねたり出来るんだから好きでは無くても平気だろうと思った
当の本人は心なしか【ジェットコースター?なにそれ】みたいな表情で私をじっと見ているが今は説明を省く
「このジェットコースターおっきそうやしこれから乗らん?混んだら並ぶやろうし」
まずは大きめの絶叫マシンに乗ってしまえばジェットコースターとはこう言う乗り物なのだと理解して貰い安いかもしれないと私が提案し、特徴的な木製コースターへ直ぐに並び始めた
既に15分待ち程の列が出来ていた
「これ人気なんだね」
「そうですn………そうやなぁ」
元の世界では列に並ぶなんて事自体した事が無かったんじゃないだろうかなんて考えていたら敬語に戻りそうになった
ほぼアウトだがめげずに持ち直す
「そうや!イルそのままやったら髪乱れるからくくろう」
「わかった」
サラ艶髪が乱れてしまってはせっかく決まっている格好も台無しでホラーイルミさんが出てしまう
と、不意に私に背を向けて屈むイルミさん
無言ながら私に纏めてくれと催促している様だ
何時もなら自分で結い上げている彼が何故そうしたのかは不明だがドキドキする事に間違い無い
自ら触れて良いと態度で示してくれるのは警戒心の強そうなイメージのある彼から信頼を勝ち取った様な気分だ
サラサラと気持ちの良い髪を後ろでひとつに纏める
「はい、出来た!」
「ありがとう」
彼に身を委ねられる喜びから笑みを向け目線が合う、なんて言うと大袈裟かもしれないが嬉しかった
「………今の見ました亜弥南さん」
「見ましたよ勇也さんお熱いですね」
「僕らも負けてられませんね」
「いきなり素のトーンで冷やかすの止めて!」