第20章 Wデートに行きましょう
「………聞きたい」
「………」
お互いに目が合う
「ねこねこ可愛いーいぬいぬ可愛いーわんわんにゃんにゃん動物さんー。……………」
「………ありがとう」
全くの抑揚無く真顔で見据えられつつ何やらファンシーな歌を歌われて軽くパニックである
(何やあの歌詞………)
話すのと同じ調子で歌われるとまるでお経……不安定な気持ちになる歌だった
ある意味とても印象的ではある……。
彼は私の言う事に必ずと言って良いほど応えてくれる
滅多に歌わない、と言ったのに"聞きたい"と言うと歌ってくれたのだ
彼は優しい人だと思う
原作のキルアとの件を考えると善人では無いし彼は暗殺者として人を殺めている事を考えると複雑だが……
あくまでも私に対しては最初から紳士的なのでやはり優しい人だという事にしておこう
それに、よく考えてみるとあのイルミさんが歌を歌ったという想像するのも難しい出来事を目の当たりに出来た事自体ラッキーで
イルミさんから"わんわんにゃんにゃん"という可愛らしい台詞を聞けた事に幸せと激しい萌えを感じた
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翌朝駅前にて藤木の車を待つ
「あー緊張する!」
普段通り平然としている彼を余所に私は緊張していた
隣をチラ見すると彼は鳩を眺めている
(何考えてるんかな………ミステリアス……)
やはり何を着ても様になりチャコールのダッフルコートに黒のパンツ姿はモデルの様に決まっている
私も負けじと髪を巻きバッチリメイクをした
足元は歩きやすい様にムートンブーツ
ブルーのチェスターコートを羽織ってはみたもののスカートは久々だ
彼と並んでしまえば見劣りする事間違い無しだが自身に出来る最大限のお洒落をした