第20章 Wデートに行きましょう
2月17日
明日はいよいよWデートの日だ
仕事終わりに「明日な!」と笑顔を向ける藤木に私はちゃんと笑顔を返せていただろうか
自宅にてそれっぽい洋服を用意する膝上丈の冬物ワンピース
最近めっきり着る機会の無かった洋服をハンガーに掛けて置く
イルミさんには以前の実家で使った設定を使ってもらう事にして藤木にLI○Eで伝えておいた
問題は私の敬語……………
「イルミさん明日で敬語を卒業します」
「うん」
「今から練習します」
「うん」
「……とりあえずご飯にしよう」
今夜は茄子のお味噌汁と庶民の知恵、卵かけご飯を出した
「………イルミさん…………味どう?」
「うん。まぁまぁ」
タメ口………妙にむず痒いが慣れないとこの先身が持たないのでガンガン話す事にした
「イルミさんって歌好き?」
付いている歌番組から好きな曲が流れて思わず口ずさむ
「別に興味無い」
「私好き!お酒飲んだらカラオケ行きたくなる」
「知ってる」
「えっ何で」
「前に酔っぱらった時に熱唱した後カラオケに行きたいって永遠に言ってたから」
「嘘や」
「そんな嘘付かないよ」
何気無くふった話題で驚愕の事実を知ってしまった
私が記憶を飛ばしても彼は何時も"面白かった"としか言わない
(…………熱唱してたんか………)
「……ごめん」
「別に」
「………イルミさんは歌ったりする?」
話を変えてみる。
イルミさんも歌うのが好きだったらカラオケに行くのも良いかもしれないと思ったが歌に興味は無いと言われてしまえばそれまでだ
しかし、彼が歌うという事自体想像するのも難しく興味深い
「滅多に歌わない」
滅多に、と言う事は歌う事はあるらしい