第150章 転がるケーキ
幼い頃憧れて母親にねだり念願叶って口に運んだ時の衝撃を今でも覚えている
可愛らしいサンタクロースを構成しているのは硬い砂糖なのだ
味も微妙な上に只ひたすらに甘い……
その時裏切られる淡い期待と純真な心………
多分大勢の大人が通ったその道を彼はきっと通っていない
私はお姉さんにサンタクロースとトナカイの砂糖菓子もつけて欲しいと注文し、店を後にした
サンタクロースを噛った彼がどんな顔をするのか実に楽しみである
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やっとの事で終わった仕事
私は誰よりも早くオフィスを飛び出した
忘れていたがフライドチキンやローストビーフを買いたい……と思ったのだ
近場の小さなスーパーには売っていないだろうがイ○ンに行くと時間をロスしてしまう……
手近にコンビニで済ます事を決めて私はサンタクロースの乗ったケーキを手に慎重ながら急いで道を行く
プレゼントは結局買わない事にした
彼が帰ってしまう時にもし部屋に置いて行かれてしまうなら一つでも物は少ない方が良い………なんて私は浅はかだろうか……
クリスマス色に染まった街は賑やかに光りそんな考えは何処かに消えて私はとにかく道を急いだ