第150章 転がるケーキ
12月25日
クリスマス
仕事の為に早起きな彼と共に起床する
一緒に朝食をとりお弁当を作るのは勿論だが
私にはするべき事がある
重要ミッション………クリスマスパーティーに向けた準備である
作業着に身を包みけだる気に手を振った彼の背中が見えなくなるまで見送れば急いで掃除機をかけた
そして彼の誕生日会の時に使用したキラキラのモールを部屋に飾り付ける
使い回しで悪いが急拵えなので勘弁してもらいたい
なにせクリスマスよりも北海道旅行に集中していた私は恋人達の一大イベントが頭からすっかり抜けており
連休を貰っておいて仕事を早引きさせて欲しいなんて言える筈も無く準備をするなら朝のこの時間しか無いのだ
更にはメイクを念入りにして髪も緩く巻き、特別感を少しでも出す事に尽力した
サラリーマンやOLさんが行き交う道を早歩きで急ぎながらも頭は目まぐるしく回転する
サプライズなのだから彼よりも早く帰宅して完璧な状態で彼を迎えたい
オフィスから近いケーキ屋さんを思い浮かべてお昼休みに予約しようと考える
料理は卵焼きにタコさんウインナー、ハンバーグにポテトサラダ
混み合うスーパーを素早く移動する為にばっちりスニーカーを穿いて来た
(………イルミさん喜ぶやろなぁ……)
なんてキラキラ輝く瞳を想像するだけで浮かれる私は単純だ
________"
やけに進みの遅い時計を何度も見てやっとやって来た昼休み
私はお弁当に急いでがっつく
「さーや今日は食いっぷりがえげつないなぁ」
そんな私を見ていた藤木がニヤニヤと笑うので一応睨み付ける
「ケーキ!予約しに行かなあかんねん」
「クリスマスケーキ?」
「それ以外何があるんよ」