第19章 バレンタインは女の勝負
時間は流れてお互い布団に入っている
こうなってしまえば苦肉の策でイルミさんが眠ってしまった後に枕元にでも置いておく事にした
彼が眠るのを見計らう為に聞き耳を立てて背中を向けてずっとちゃぶ台を眺めている
どれだけ時間がたっただろうか
電気の消えた部屋は冷え込み実に静かだ
(…………そろそろ寝たかな?)
ゆっくりと寝返りを打ち彼を覗き見る
「っ………!!」
私は驚きのあまり声をあげそうになった
彼はスースーと寝息を立ててはいるが瞳がぱっちり開いていた
彼がいくら美形とは言え暗闇で実際見てみると非常にホラーテイストだ
(めっちゃびっくりした……違う意味でドキドキした………ほんまに寝てる……?)
いきなり拳を振り上げてみる
攻撃系なら反射的に反応するだろうと顔の直前で拳を止めるが反応は無かった
(……………寝てるな…)
……………良く良く考えれば反射的に反応されてしまっていたら腕を小枝の様に折られていたかもしれない……眠っていてくれて本当に良かった
私はいそいそと起き上がり枕元にチョコレートを置くというミッションを無事終えた
(これでゆっくり寝れる!!あとは明日の反応やな……)
私はドキドキと高鳴る乙女心を抱いて夢の世界へ旅立った