第149章 リストの文字
12月24日
所謂クリスマスイブの目覚めは大好きな彼の腕の中だった
体温が移り暖かい一枚の掛け布団の中で密着した素肌にドキドキと高鳴る胸は昨夜の出来事を巡る思考によって更に速まる
力が抜けて緩まっている彼の腕から抜け出そうと身動いだ私だが途端にぎゅっと抱き寄せられて彼の胸板に寄り添う形に成った
「イルミさん起き「おはよう」
寝惚けているのだろうと上げた声は予想とは違うはっきりとした声に遮られ彼を見上げれば大きな瞳はパッチリ開いていた
向かい合う形で抱き寄せられた事で真っ赤に染まり行く私の表情は彼に丸見えな訳で
慌てて俯いた先は彼の肉体美と朝から刺激の強い光景にクラクラと目眩がする
「あの……早く準備しないと集合時間に遅刻します……」
「いつも余裕でお茶飲んでるじゃん。」
「でも……「もう少しこのままで良いでしょ?」
普段より低い声は私の思考を痺れさせ否定の言葉を失う
緩く回された腕、絡まる脚に体温が上がる中彼は其の長い指で私の背中をなぞる
擽ったくて身動ぎ思わず彼の背中に腕を回して抱き付けば肌がぴったり合わさって余計に自分を追い込んでしまった
「……沙夜子」
声に胸板から彼の瞳へ視線を向ければ伏し目がちな両眼に捕らえられて心音が耳に煩く感じる