第148章 北国最後の夜
彼の唇が太腿へ触れてリップ音を響かせ彼の姿を追った視線が薄く照らされた彼の姿を映し出す
自身の太腿に顔を埋めた彼の姿は艶かしく此方に視線を向けた彼と目が合って一際大きく心臓が鳴った
その鋭い視線をそのままに持ち上げた私の脚をわざとらしく舐め上げる仕草にくぐもった声が漏れ出す
心も身体も全てが彼を求める中伸ばした腕
彼はそんな私を見ると覆い被さる様に私を抱き締めた
見掛けよりも男性的な彼の香りが鼻を掠めてぎゅっと力を込めれば答える様に抱き締め返される
随分と身体が熱いのは私だけでは無く彼もまた同じで素肌が触れ合う感覚はお互いの体温を伝えた
どれだけそうしていたのか、只抱き締め合う内も未だもどかしく熱を帯びた身体は貪欲に彼を求めて
腹部に感じる熱い熱が彼のものであると意識した途端に心拍数はまた上がる
そんな時悠々と私から上体を起こした彼は
「もう眠ろうか。明日も早いし」
何時もの淡白な声色で言った
しかしその瞳はまだ不適な色を湛えており、もしかしたら私も彼から見たなら物欲しそうな顔をしているのかと思うと恥ずかしくて顔を反らして頷くのが精一杯で
ふぅっと息を吐いた彼は掛け布団と共に私の隣へ横に成った
そして腹部に伸びた腕は私を抱き寄せて1日目と同じ様に背後から私を包み込む
再び重なる素肌の感覚にもそうなのだが
私のお尻に当たる彼の熱に気が気では無く
「………あの………その………」
なんて言い淀む私に彼は溜息を付いた
「生理現象だよ。その内治まる。………何もしないから安心して」
何時もの調子で言いくるめられ身を固くした私だが髪を撫でられ
「おやすみ。」
なんて優しい声色で言われてしまえば抗う術も無く
割れ物を扱う様な優しい指先にいつの間にか力は抜けて、規則正しい彼の呼吸、大好きな香り、彼の体温は心地好く溶けて気が付かない内に私は夢の中へ旅立っていた
愛しい寝息を聞きながら彼女の肌をなぞり溜息を漏らす
「…………馬鹿みたい。」
なんて彼の呟きを私は知るよしも無い