第148章 北国最後の夜
「俺もだよ。」
強い風の音で掻き消えて彼の声は聞こえなかった
だけどその動きはそう言った様に見えたのだ
ドキドキと高鳴る胸は騒がしく急かすガイドさんの声に暫くぼんやりしたまま動けなかった
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23:30
夕飯と入浴を済ませて部屋で彼とご当地ワインを飲む
旅行最後の夜こうして北海道のワインを飲むのも今日で最後だなんて考えると私の思考は何時もの我が儘が出てくる
明日になんて成らなければ良い
まだ眠りたくない
しかし私は今我が儘を言わずに只ワインを飲んでいた
その理由は昨夜なら眠ると言って強制消灯を実行していた彼が一向に眠る気配を見せないからである
そしてやはりと言うべきか彼の浴衣の着崩れは一向にマシには成らず今夜も私は目線に困り果てて一人体温を上げていた
「………イルミさん」
「何」
「まだ寝ないんですか?」
「寝たい?」
「………いえ」
そして私はそんな彼に違和感を覚えている
何時もなら上品にお酒を嗜む彼が先程からハイペースで喉に流し込んでいるのだ
「今日は良く飲みますね」
「そうだね。」
「なんでですか……?」
疑問を口にした瞬間に彼を包む雰囲気がガラリと変わったのが解った
「どうしてだと思う?」
妖艶な色を含んだ瞳に捕らえられて固まった私の手からグラスを取り上げた彼は
立ち上がると部屋の照明を消してしまった
部屋を辛うじて照らす灯りは遠く小さな灯りのみ
突然の出来事に固まったままの私を彼は軽々抱き上げ運ばれた先は2つ並んだ布団の上だった
「イルミさん……?」
今自身が置かれる状況は漂う雰囲気で察する事は出来た
しかし彼が突然豹変した事に思考が付いて行けずに戸惑いの声を上げたのだが返事は無くその代わりに彼は私を組み敷しいた