第146章 雪山と彼の腕
真っ白な雪が風に流され降る光景に私の脳内にはT.○.Revolutionのwhite br○athが流れ始める
今の私達は完全に西○貴教だ
………凍えそうに寒い………
他の観光客の口からも"見えない"寒い"なんて言葉が聞こえる中私達は写真を撮った
出来栄えは酷い有り様だったが彼はやはり相変わらずのイケメンだった
風に瞳を細めている表情は寧ろセクシーで強風すらも彼の前では只美形を際立たせる小道具になるのだと思うと最早感心しか無かった
「降りようか」
「はい」
早々に観光を諦めて元来た道へ引き返していたその時
足が雪に取られて身体が重力に傾いた
咄嗟に受け身を取った私だが地面より早く大好きな香りにぶつかる
「本当にそそっかしいね。」
「……ありがとうございます……」
私が飛び込んだ先は彼の厚い胸板だった
私を支える様に肩を抱いた彼の大きな手に心音は早く成る
「ほら行くよ。」
言いながら自身に掴まる様に促す仕草を見せた彼におずおずと手を伸ばす
彼は本当に頼りになる
彼が居なければ此の一年で私は何度転んでいただろう……
しっかりと私が掴まったのを確認してから歩き出す彼の優しさが胸に染みて
「ありがとうございます!」
途端に出た明るい声
「別に。」
素っ気ない言葉とは裏腹に溶けてしまいそうなくらい柔らかい笑みを見せるものだから私は息を詰まらせ頬に熱を籠らせたのだった