第146章 雪山と彼の腕
12月22日
翌朝アラームを切ろうと手を伸ばすと携帯は遥か遠くにあった
「………?」
そしてみるみる覚醒する意識の中
昨夜から彼に抱かれたままなのだと理解する
僅かに身動ぎは出来るものの腹部に回された腕はしっかりと私を抑え込んでいてお互いにはだけてしまったらしい浴衣の裾は最早意味を成さず素脚と素脚を絡める様に彼の美脚が私の股を割って間に入っていた
意識すれば簡単に跳ね上がる胸を抑えつつ先程からけたたましく鳴り響くアラームに懸命に手を伸ばす
(…………無理か………)
手を伸ばした所で何も出来ず目的を失った腕は畳に力無く落ちる
私が頑張るよりも彼に起床してもらうのが先決だと思ったからだ
「イルミさん!!起きて下さい!!!」
出来る限り身体を揺らして声を張り上げれば直ぐ後ろからくぐもった声が聞こえてうなじに掛かる吐息にドキドキする
「イルミさん!朝です!」
「……ん……おはよう」
もう一度声を上げた私を何故か彼はぎゅっと抱き寄せるとゆっくりと起き上がった
久しぶりに解放された身体は彼の体温が移っていて朝の冷えきった空気の中でも温かく感じる
「……おはようございます……!」
素早く浴衣の着崩れを直して即座にアラームを止めに布団を抜け出した私とは相反して彼は布団から出る事無くぼーっと此方を見ていた