第145章 ひとつの布団
ホテルから出ると丁度夕焼け時
湖にはオレンジ色が綺麗に反射する
同じホテルに宿泊している観光客がチラホラ見える中私達は雪を踏み締めて湖畔を歩く
「どうですか北海道!」
「流石は日本の北だね、雪が多い」
「そうですね、私は来れて良かったです!今めっちゃ楽しいです!」
「うん。」
水鳥の鳴き声を何処か遠くに聞きながらどちらとも無く立ち止まれば彼の黒髪に橙色の光が目に眩しく反射する
そんな刹那の時間の中私を真っ直ぐに捉えた彼は口を開いた
「沙夜子のおかげで有意義な時間が過ごせたよ」
その声色があまりにも優しく染みて身が裂けそうに切なく胸が締め付けられたのは夕焼け空があまりにも綺麗だったからという事にした
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私達はその後部屋に戻ると彼は館内案内を隅々迄読み込み大浴場の入浴時間なんかを教えてくれて
私は御茶請けに用意されていたお菓子を貪り食べた後、直ぐに夕飯へ出向いた
食べてばかりいる。と、彼に指摘されたがお菓子は別腹だし旅先でくらいカロリーなんて考えずに食べようと思っているので微笑みながらスルーを決めた
ガイドさんに説明された通りに夕飯会場に行くと大勢の宿泊客で賑わいを見せていて私は一瞬たじろいでしまう
そもそも、想像を越えて人が多いというのも原因のひとつなのだが飛び交う言語に驚いてしまったのだ
海外からの旅行客が増えている、なんてニュースで見た事があるがまさかここまで多いとは思っても見なかった
広々とした会場の半分程の人数は聞き取れない言語が使われている様で異国情緒漂う雰囲気にここは本当に日本なのかと疑うレベルだ