第145章 ひとつの布団
私達は次いで到着した香雪園を観光する頃にはすっかり周りから浮きに浮きまくっていた
集合場所の時点で浮いていたには違いないが
今は明らかに敢えて人が寄り付かないのがひしひしと伝わり集団行動や協調性を義務教育で叩き込まれた生粋の日本人の私には居心地が悪くて仕方がない……
原因は間違い無く彼の傍若無人な発言だと思うが、当の本人をチラリと観察すると先程より随分落ち着いた雰囲気の様に見えた
(流石マイペースの異端児………)
ツアーという集団からはみ出す事を余儀なくされた状況にも関わらず何故こんなにも落ち着いていられるのか不思議でならない……
なんて考えていると
「何。」
私の視線に気付いた彼が単調に呟いた
「あ、えっと……ツアーの人達に避けられてるなぁって……」
苦笑いを浮かべる私に
「良いじゃん別に。この方が歩き易いし」
なんてサラッと言って退ける辺り流石としか言い様が無い
「……勿論、観光はしたいから見失うなんてミスはしない。……だけど俺は沙夜子と観光に来たのであって他人の事なんて知った事じゃない。それに、此れくらい距離があった方が二人でゆっくり出来るよ」
彼のマイペースの強さに最早感心していた私だが
その言葉は単純な私を簡単に丸め込んだ