第144章 彼と私のツアー旅行
「ありがとうございます……」
「どういたしまして」
手渡された袋で赤い顔が見えない様にチラリと様子を伺えばふわりと微笑まれてしまいボンと音でも出そうなくらい頬が熱くなった
その後暫く二人向かい合ったまま棒立ちする謎の時間を過ごした私達は次いでテディベアショップを覗いた
ふわふわのテディベアが沢山並んでいる姿は可愛らしく夢中になって店内を回った
彼は独断興味が無さそうだったが以前と違い一緒に店内を見て回ってくれている事に気が付いた
「……イルミさん、一緒に見てくれるんですね!嬉しいです!」
事実だ。
只のウィンドウショッピングでも一人で見て回るより大好きな人と一緒に見て回った方が格段に楽しい
「別に。」
なんて素っ気ない彼だが声色は優しかった
その後明治館を出た私達は海を眺めていた
赤レンガ倉庫は海辺に位置しており裏手に出ると運河が流れていて幸せの鐘なんてのが設置されている
背後で其の鐘の音を聞きながら私達は写真を撮ったりして観光を楽しんでいたのだが
冬の海辺の風は只でさえ冷たいのだが私達が居るのは北海道の海辺で、吹く風もより一層冷たく私はその寒さに自身の肩を擦った
「やっぱり寒いですね」
「店入る?ついでに何か食べよう」
サラサラ流れる艶やかな黒髪を緩く押さえていた彼は鬱陶しそうに残り毛をかき上げると素敵な提案をしてくれた
時刻は11時を過ぎた頃で朝食は食べたが早起きしていて小腹が空いていたし、まだ集合時間迄十分余裕があったので二つ返事で賛同した