第143章 旅立つ
長い様で短い空の旅を終えて私達は北の大地、函館空港に降り立った
レーンから流れる荷物を取って集合場所に向かえば老夫婦、家族連れ、親子、親戚同士、等様々な年齢層のグループが同じ旗の元に集まっていた
途端に集まる視線
見渡す限りカップルが見当たらない事も相まって若い男女コンビの私達は浮いていて
更には彼の美しい容姿と醸し出す凛とした雰囲気が一層目立っていた
嫌な汗が背中を伝う中、心の中で周りなんてどうだって良いと言い聞かせる
(……絶対楽しむ……他人の目なんか気にせん………イルミさんと北海道エンジョイする!!)
そんな中チラリと盗み見た彼はクリクリの瞳で今朝手渡した旅の行程を眺めていて一気に肩の力が抜けて行くのが解った
「始まりましたね!」
「そうだね。」
声を掛ければ此方を向いた彼は何処か楽し気に見えた
ガイドのお姉さんに連れられるままに観光バスに乗り込み、旅のしおりを新たに貰い二人眺めて最初の目的地について会話を弾ませる
「赤レンガ倉庫ですよー!」
「倉庫で何をするの?」
「昔倉庫やった建物を使ったお店が沢山あるんですよ!」
「そうなんだ。」
関心した様に言った彼だが先程からチラチラと視線は窓の外を気にしている