第143章 旅立つ
つまり普段から私が癖毛を生かしてセットしている髪型も似合っていると思ってくれているという可能性が極めて高い
今迄彼にセットした髪型を褒められたりした事は一度も無いが今の言葉で私の乙女心は幸せに満たされた
「……ニヤニヤしてないで集合場所解ってるの。」
なんてそっけない対応をする彼に向かって私は気持ちの悪いニヤけ顔を空港に到着するまで向けていた
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空港に到着してス◯ーバックスで朝食を取った私達はツアー旅行のバッジを貰い飛行機に乗り込んだ
ファッションの邪魔に成るお洒落も糞も無いバッジだが、ツアー中は着けて下さい。との説明を受けたので頭を悩ませた結果、バッグの手持ち部分に付ける事にした
彼はというとじっとバッジを眺めた後に秒でゴミ箱に捨てていたが見なかった事にする
地上を離れて飛び立った飛行機はぐんぐん高度を上げてあっという間に雲の上に出た
太陽に照らされて一面に続く雲の白色が目に眩しく輝く
「見てください!」
「?」
「北海道の雪もこんなんですよ!」
言いながら笑い掛ければ
「ふーん。」
彼はぼんやり呟いたきり瞳を細めてずっと窓の外を眺めていて
「楽しみですね!」
「うん。」
はっきりとした声色の返事を聞けた時に何故か泣きそうになったのは彼には秘密だ
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