第139章 イルミネーションコミュニケーション
ガヤガヤと騒がしい店内で刺さる視線
しかしながら彼と外出を重ねる内に、気にしない。というスキルを身に付けた
私は彼と素敵な思い出を作りたい。十分に今を楽しむ為には他人の目等気にしないのが一番なのだと思う
集中視線を浴びせられている目の前の当の本人は私なんかより堂々としているし、付属の私がコソコソと気にしていても状況は変わらないと思ったのも事実だった
「お腹空きましたね!」
「まぁお昼時だしね」
店内の為にコートをハンガーに掛けたのだがVネックで胸元が開いた深い藍色のロングTシャツを身に纏った彼は恐ろしい程の美形だった
知っている。私は今朝方コートを羽織る前の彼を見ている
しかし外出先に成ると他の男性と謀らずとも比較してしまい彼の美貌が更に際立つのだ
凛としていて清潔感のある涼しげな独特の雰囲気を纏った彼はゆっくりとグラスを傾けて水を飲む
只其れだけのなんて事無い所作ですら彼は格段に上品で熱の籠った溜息が漏れた
「お昼食べたら何する?」
「……とりあえずこの中見て周りましょ!」
「そうだね。外は沙夜子には寒いしね」
彼の言葉は他でも無い私に向けられている、そう意識するだけで幸せで私は笑顔が溢れて止まらなかった
昼食を堪能して歩き出した私達
しっかりと絡められた手を揺らして施設内を行けば人目にはカップルに見えるだろうか……なんて考えていると彼に引かれて吸い込まれる様に店内へ入った
辺りを見渡してどういった店か理解する
そこかしこを埋め尽くしているのは忍者グッズだった
チラリと彼を盗み見ればその眼差しは真剣そのもので吹き出しそうなので頬の内側を噛む
じっくりと時間を掛けて誰よりも真剣に店内を物色した彼は何も購入せず店を出て
「殺傷能力の有る武器が無かった」
と落胆を見せた
私は子供達がはしゃぎ回っている店内を振り返りそりゃそうだろう、と思ったが堪えた笑いで肩が震えそうなので無言を貫いた