第139章 イルミネーションコミュニケーション
水族館を出てやって来たのは隣接する様に同じ敷地に建っている天保○マーケットプレース
随分ゆっくりと見て回った事で時刻は昼を過ぎて人が疎らだった広場には沢山の人が溢れていた
目的を達成すると素早く帰宅する傾向にある彼のコートを緩く掴む
「何」
「夜まで此所で遊びませんか」
私の言葉に足を止めた彼は辺りを見渡した後に
「良いよ」
と言ってくれたので人で賑わいを見せるマーケットプレース内へやって来たのだ
昼を過ぎているという事は当然お腹が減っている訳で私は施設内にある"なにわ食いしんぼ横丁"へ彼を誘った
室内に昔ながらの大阪をモチーフにした町並みを作っており、赤い旧型のポストや三輪トラック等がレトロな雰囲気を演出していて、その中には沢山の飲食店が建ち並んでいる
狭い路地をイメージした造りにすれ違う人々が活気を見せていて自然と胸は高鳴った
「お昼、何食べます?」
「何でも良い」
と言った割に辺りをキョロキョロ見渡す彼が可愛いなんて独りニヤニヤしていると然り気無く手を掬い取られて指を絡められる
黙って彼を見上げれば彼も此方を見ていたが何も言わなかった
私達の空気感、心地好い無言
私がしっかりと手に力を込めれば彼はやんわり握り返してくれて
会話を交わしていないのにドキドキと高鳴る気持ちは満たされるばかりだった
そんな中彼が立ち止まった"ま○ろ屋 天"に昼食を決めて入店する
何でも良いと言った彼だがしっかりと自己主張する辺り彼らしい
私はまぐろユッケ丼を、彼はシンプルなまぐろ丼を頼んだ