第17章 豆まきだって命掛け
「豆まきは子供のお遊び?鬼の面もヘンテコだし」
「違います!文化!風習!しっかりと根付いてるものなんで真剣ですよ!……はい、イルミさん私が鬼やるんで豆投げてください」
「わかった」
イルミさんは袋を開いて三粒程を掌に落とすと目にも止まらぬ早さで豆を投げた
何故其れが解ったのかと言うと
シュッと空を切る音がして壁に豆がめり込んでいたからだ
「ちょっと待ってくださいイルミさん」
「……………………豆まきは子供のお遊びですよ?そんな本気で投げられたら死にます」
「文化で風習「何の話ししてるんですか。子供の遊びにそんなに真剣にならんといてくださいマジで」
「でも「はぁ……こんなん子供当たったら危ないでしょ。小鳥が当たっても無傷なくらいで遊ぶものなんですよ。ほんまイルミさんはわかってないなぁ」
「………」
鬼のお面を被って饒舌に話す私は俯瞰で見ればさぞ滑稽だろうが命の危機を感じたのだ
真剣に投げさせない様に急遽方向転換した
作戦コマンド→いのちだいじに
に変更である
「…………」
「…………」
私は鬼らしく逃げ惑い
イルミさんは本当に優しく豆を投げる………というより撒いていた
小鳥に当たるどころか鳩に餌をやっている
しんと静まり返った静寂の中響くのは豆が床に散らばる音だけだった