第17章 豆まきだって命掛け
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「おかえり」
「ただいま!」
イルミさんは私の気配を察知するとたまに玄関を開いて出迎えてくれる
お坊ちゃんの彼にそんな事をさせるのは申し訳無い気持ちもあるが大好きな人が出迎えてくれるのはやはり嬉しくて満面の笑みを返す
彼が普段通りドリルに勤しむ中私はキッチンに立つ
本日は恵方巻もあるので雰囲気で手巻き寿司をする事にして買ったばかりのお刺身をお皿に盛ってゆく
酢飯もしっかり噎せながら作った
「用意完了です!」
私が言うとイルミさんはキッチリとドリルを自分専用段ボールに仕舞う。可愛い。
ちゃぶ台に全て並べて手巻き用海苔を一袋丸々手渡す
「?」
「今日は手巻き寿司です」
「スシって……確かシャリに生魚が乗った料理じゃなかった?」
「はい。手巻き寿司は自分でシャリとお刺身を海苔で巻いて食べるものです!その海苔はイルミさん専用です!」
「ふーん。スシにも色々あるんだね」
「と、その前に」
「?」
「今日は節分です」
「セツブン…」
くりっと首を傾げるイルミさん
やはり日本文化を知らない事が多い
「豆まきをします」
「………」
私の口調から説明が始まるのだと悟ったらしいイルミさんは黙って私を見詰める
「まず節分とは!季節の変わり目には邪悪な物的な………鬼……?的な………邪気みたいな物が入りやすいとか言われて、それを払う為にこの大豆をお面の鬼に扮した相手にぶつけて追い払うんです!」
一息ついて説明を続ける
「そしてこれは恵方巻きです。節分に食べると縁起が良いらしいです。無言で食べるのが鉄則です。一本を丸かぶりが基本です。何故丸かぶりかと言うと縁が切れてしまうと言われているからです」
事前にWiki○ediaで調べた情報をふんわり説明しイルミさんの謎の拍手によって終了した