第138章 水族館に行こう
瀬戸内海ゾーンにはマダコや伊勢海老、ヒラメ、鯛等食べられる魚が泳いでいる事がしばしば見られ私達は水槽を見て回りながら何の料理で食べれば美味しいかなんて、飼育員さんが聞いたら良い気持ちはしないだろう事を話したり
マンボウは死にやすいなんていう都市伝説的な話しをしたり
ウミガメを眺めながら浦島太郎の昔話を彼に話して聞かせ「理不尽な話だね」なんて感想を頂いた
甲殻類が気になるのか全長3m以上のアシダカガニの水槽の前で再び動かなくなった彼に付き合ってぼんやりした後に
やって来たのは最後のエリア
海月銀河
暗く照明を落とした広い空間に浮かび上がる様にフワフワと浮かぶ海月が作り上げたエリアは神秘的かつ不思議な感覚を覚える
只水流に漂いユラユラと揺れる海月は幻想的で吸い込まれる様に水槽へ歩みを進めれば急に腕を捕まれてつんのめった
「っ!」
「只でさえ暗いんだから転ぶよ」
「あ、はい、すみません」
私の手首をしっかりと掴んだ彼はやれやれと言った様に溜息を付いたが、どちらかと言えば彼が手首を掴んだ事で転びそうになったとは言わないでおいた
色鮮やかな照明で半透明な身体の色を変える海月を眺める
不規則に揺れる海月を見ていると時間軸が無くなったかの様な錯覚を覚えて只暖かい彼の大きな手の感覚が鮮明になって行く
「……イルミさんって転けたりしないんですか」
「滅多に」
「………暗かったらいくらイルミさんでも転けたりするんじゃないですか」
「暗闇でも目が利くから平気」
「まじで!猫目ってやつですね……」
なんて会話を交わしていると彼は途端に手首を解放して足早に違う水槽へ移ってしまった
「………?」
違和感を感じる