第138章 水族館に行こう
普段よりあどけない表情を浮かべる彼の目を惹いていたのは一際大きなオウサマペンギンだった
「図鑑で知っていたけど大きいね」
「ですよね。私毎回びっくりします」
「動物園に行った時沙夜子が大きなペンギンがいるって話してくれたよね」
「はい!大きかったでしょ?」
「うん」
動物園を訪れたのは約一年前なのに彼はその時の会話を覚えていてくれた
その事がぎゅっと私の胸を締め付けて
嬉しいのか悲しいのか解らなくなってそっと水槽から離れる
じっとペンギンを眺める彼の背中を眺めながらこのまま時間が止まらないかな……なんて思った
元気に動き回るイルカを夢中で眺め、サンゴ礁をモチーフにしたカラフルな空間を見て回り辿り着いたのはメイン水槽
悠々と泳ぐジンベイザメやアカシュモクザメ、大きなエイが沢山泳ぐ水槽には比較的大きな魚達が広々と泳いでおりずっと眺めていても飽きないのでは無いかと思わせる
「………この水槽に落ちたら……」
ポツリと溢した私に
「またそれ?」
なんて背後から言った彼だがその声色に呆れは含まれて居らず
私達は最早鉄板と化した会話を飽きもせず繰り返した